よくわかる区分所有法

区分所有法を条文ごとにわかりやすく解説

第十九条(共用部分の負担及び利益収取)

各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。

解説

共用部分は各共有者の共有物ですので、その持分に応じて共用部分に係る費用等を負担し利益を受けるという原則を示した規定です。第十一条によると、共用部分は区分所有者全員の共有に属することになりますので、区分所有者全員が共用部分に係る費用等を負担するという意味になります。

建物を維持管理していくには、清掃費や設備の点検費、修繕費、水道光熱費など様々な費用が必要となります。戸建住宅やワンオーナーのビルであれば持ち主がその費用を当然に負担しますが、区分所有建物で何も決まりがないと、共用廊下やエレベーター等に係る費用を誰がどのように負担するのかトラブルになります。そこで、各区分所有者が管理費や修繕積立金を負担しましょうという、ある意味当たり前の約束事が必要となってきます。

負担の割合については、規約に別段の定めがない限りその持分に応じてとなっています。使用の有無や頻度によって負担割合を決めるべきといった議論がされることもありますが、共用廊下を何回通ったか、エレベーターに何回乗ったかなどを正確に算出することはほぼ不可能ですし、月ごとに負担割合が変動するのも煩雑すぎます。

そのため、区分所有法では持分に応じた負担をすると定めています。なお、規約に別段の定めがない限りと記載がありますので、管理規約によって持分割合ではない負担割合を定めることは可能ですが、標準管理規約では共有持分に応じて算出と原則どおりの対応となっています。

関連法規等

マンション標準管理規約(単棟型) 第25条(管理費等)

区分所有者は、敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。

一 管理費

二 修繕積立金

2 管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。